フリー編集者の人生を見つめる日誌

〜生きることってどんなこと〜

フリーランスと仕事問題

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大きな契約がなくなってから、まだ仕事を探している。

仕事が何もかもなくなったわけではないが、今もらっている書く仕事だけだとちょっとというかかなり心許ない。それに毎月変動があるわけだから、やはり固定給がほしい。固定給のように、毎月お仕事をいただいている会社は数社あるのだけれど、つまり、まだ不安なんである。

私は大学を卒業してから、かれこれ10年以上、ずっと書く仕事をしてきて、それはファッションだったり、インタビューだったり、いろいろだけれど、とにかく何かを書いて、コンテンツをつくるということをしてきた。やってきて思うのは、これが好きだという確信に近い気持ち。好きというか、これしかできないに近い。

30歳の時に、人生に迷って、編集やライターという仕事を止め(辞めたわけではない)、陶芸修行に勤しんだりもしたけれど、挫折した。あとは若い頃から散々アルバイトもしてきたが、飲食系はてんでダメだし、ギリギリできたのは古着屋くらい。そんな感じだったから、大学在学時には、「私、どうやって生きていくわけ?」とぼんやり思っていた。

けれど、なんとなく好きなものを考えていったら、「雑誌の編集」という仕事があることを知り、雑誌が好きだ!雑誌が作りたい!とピュアな気持ちだけ先走り、運よくほんとうに雑誌の仕事をすることになった。

今も雑誌の仕事をしているけれど、これまで関わった雑誌、何冊休刊になったんだろう。出版社における雑誌の立ち位置は弱い。それでも私は雑誌が好きだし、雑誌の撮影に行くと心が踊る。

で、話が逸れたけれど、もう少し仕事がほしいと思っている。思っているけれど、あれから普通に忙しい。毎日仕事がある。なんで大きい契約がなくなったのに、まだ忙しいのと大変に疑問である。まじでなんで?

書く仕事は好きだけれど、書くには結構な時間がかかる。自分のことを書いたり、日記を書いたり、テキトーなことを考えては吐き出すのは楽チンだけれど、私は誰かのために書いているわけで、それ相当にちゃんと調べたり、どんな文体の原稿がいいんだろうなどと考えるし、結構進まない。あとはアポイントを入れたり、取材もしたり、やりとりもするので、なかなかにいろいろとやらなくてはいけないことが多い。原稿を書いて納品して終わりではない。とすると、今までの稼ぎを補充するためには、全てを書く仕事にすると、ナチュラルに忙しすぎて死ぬかもしれないなと思った。ちなみに最近失ったという仕事は、編集したり書いたりというよりは、どちらかというとコミュニティの運営に近かった。大変なこともあったけど、書くだけだったら同じようには稼げなかったと思う。

そして今、私はなんとなく本屋さんを兼ねたコミュニティースペースが作りたいんである。そこを運営しながら、リモートで仕事をしつつ・・というのが理想だ。そういえば、20代前半の頃は、「丘の上の海が見える一軒家で、古着屋をやりながら、書く仕事をして、大きな犬もいる」毎日を理想としていた。今思っても、そんな毎日って最高だし、やっぱり10年経っても理想ってあまり変わらないのかもと思った。古着は今も大好きだけれど、最近は本屋さんに興味がある。となると、どこかへ就職するわけにはいかないと思う。かつ、タイムカード制のバイトをしてしまうと、今も受けているフリーの仕事などに手が回らなくなってしまうので、それも避けたい。やっぱりフリーランスのお仕事をもう1-2件、もらえたらうれしい。と思いながら、まだ誰にも話していないから、結局ものごとは契約を失った1ヵ月前とさほど変わらない。もうちょっと様子を見てみようか。私ったら、どうなるのか。

11/19(日)香港4日目:日帰りマカオでカジノにびびる

行きたかったギャラリーも、独立系書店もまわれたので、残りの数日、どうしようかと考えていた。最近クリエイターやアーティストがこぞって移住しているという離島「南丫島(ラマ島)」もいいと思ったけれど、王道のマカオも気になる。結果、ラマ島は知り合いがいて案内してもらうか、車など移動手段があったほうがいいに違いないという結論に至り、マカオにした。

またもや眠れず、気がついたら朝の6時。ようやくうとうとして、目覚めた頃には9時半を過ぎていた。急いで身支度をし、マカオ行きのフェリーターミナルまで地下鉄で向かう。なんとか11:30発のフェリーに乗ることができた。休日ということもあり、チケットはやや割高で、往復で380HKD(7200円くらい)だった。そして我々外国人は渡航にパスポートが必要。香港からの出国手続きをし、マカオに入るときは入国手続きをする。と言っても簡単なもの。マカオでは香港ドルが使えるらしく、お金などは両替はしなかった。マカオに到着すると、まずはバスで市街地に向かう。私の場合、滞在時間はたったの2時間くらいだったので(朝から遅れがちだったし、復路のチケットも時間を決めねばならず、それとない時間を伝えたが、幾分早すぎたかもしれない。またやってるよ、私)、世界遺産などがあるエリアのみの観光とした。

バスで降りるなり、巨大な建物がお出迎え。

カジノ・グランド・リスボ

あまりの高さと、意味不明なかたち、そしてわかりやすいゴールドに圧倒される。「マカオ、すげー…」と心の中で呟いた。ただのカジノ施設だと思っていたが、どうやらホテルとセットになっているらしい。カジノをあまり知らないのだけれど、どこも宿泊施設とセットなのかもしれない。

さらにその向かいにはカジノ・リスボアというカジノもある。

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これは日本の昭和のパチンコ屋のような風情。ビビって入らなかったけれど、1回くらいチャレンジしてもよかったのだろうか。私はギャンブルにはまったく興味がない。

さて、カジノに圧倒されたところで、観光名所「聖ドミニコ教会」と「聖ポール天主堂跡」へ。道中がとんでもない混雑で、全盛期の竹下通りを歩いている感じ。

竹下通り

聖ポール天主堂跡は、そのすぐ横に建っているコロニアル調の建物にユニクロが入っていておもしろかった。なんだか不釣り合いすぎて。どこにでも店をつくればいいってもんじゃないと思った。

聖ポール天主堂跡

それから少し丘を登って、砲撃台へ。マカオの街が少し見渡せた。よくまあこんなところにポルトガルも入ってこようと思ったねえ。

もういい時間なので、ポルトガル料理でも食べつつ香港に戻ろうと、港まで歩くことにした。

ヨーロピアンな街並みが混ざる
ポルトガルらしいモザイクやらタイル

はいこちらもポルトガルっぽい食べ物、エッグタルト

歩きすがら、クラフトマーケットに出会す。マカオのおしゃれな若者や作家たちがお店を出していて、すごくいい雰囲気だった。バンコクみたいでもある。ステージもあって、バンドがリハをしていた。マカオ通貨を持っていなかったので、何も買えず残念。こういう個人店でも香港ドルは使えたんだろうか。

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そして目的のポルトガル料理屋と言えば、ことごとく閉まっていた。諦めてフェリー乗り場に戻ることにする。海沿いを歩く。香港より少しだけ暖かいような気もする。人々は海沿いを歩いたり、ランニングしたり、ベンチに座ったり、とてもいい。素敵な午後。

フェリー乗り場に運よくレストランがあり、そこへ入る。マカオのローカルグルメとして有名なポークソテーのバーガー「豬扒包(ツウ・パイ・パオ)」をオーダー。

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ポルトガル×マカオの料理らしい。バンズは外はカリッと中はフワフワで、ポークソテーはマリネされた味がして、とてもおいしかった。

さて、来た道を香港へと帰る。3シートの一番端に座ったのだが、隣2席は日本人カップルだった。どうやら私のことを外国人だと思っているらしく、英語でやりとり。それから2人は始終ベタベタしていて微笑ましかった。私のことを日本人じゃないと思っていたからかもしれない。日本人は日本ではベタベタしないイメージがある。どんどんやったらいいのに。

今日がほとんど最終日なので、王道の香港観光をすることにした。と言ってももう日も暮れた後、できることは限られている。

まずは有名な「チョンキンマンション」へ。

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ここはまだネットなどが流通していない時代、バックパッカーの溜まり場になっていたそうだ。下はお店、上は安宿になっているらしい。今は完全にアフリカ系の人とインド系の人のお店になっていた。チョンキンマンションは、ウォン・カー・ウァイの映画『恋する惑星』(英題はチョンキン・エクスプレスで、チョンキンマンションのこと)などでも有名だし、最近は文化人類学者の小川さやかさんによる著書『チョンキンマンションのボスは知っている-アングラ経済の人類学』(春秋社)もある。読んでないけど。

実際足を踏み入れた感じは、よくあるデパートという感じ。失礼かもしれないが上野っぽさもある。いくつかビリヤニの美味しそうな店を見つけたが、ここでは食べないことにした。

それから、香港といえば夜景!ということで、夜景のショーも見にいく。

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午後8時から約10分間行われるレーザーショーだ。始まりはクラシックな音楽から、次第にエクスペリメンタルに移行し、ハウス的なものもかかり、ドラマチックに終演するのがおもしろかった。外にしばらくいて、体も冷えてしまったので、近くで上海料理を食べることに。上海蟹のシーズンということで、ほんとうはコースが食べたかったのだけれど、ひとりで上海蟹コースってむなしいなと思い、単品で蟹味噌?ご飯を注文。

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このご飯、てっきりどんぶりくらいの大きさかと思っていたら、なんと直径10cmのミニサイズ(泣)。そうして香港最後の夜は終わったのでした。

11/18(土)香港3日目:独立系書店とギャラリーめぐり

明け方まで眠れなかった。最近お酒を飲むと逆に目が冴えるということがある。困った。なので10時過ぎまで寝ていて、お昼前に「香港動植物園」へ。

こちらは街のど真ん中にあるのだけれど(イメージとしては表参道にあるみたいな)、かなり広々としていて、無料で大きな公園と動物、植物などが見られる。ただ香港島は坂道が多く(私的にはもう山登りだった。健脚でなければ香港には来られない)、公園にたどり着くまでにヒーヒーしてしまった。かなりの急勾配。毎日上り下りしていたら、脚力つくだろうな〜と思った。こんなふうにしていたら、結構鍛えられて、たまの山登りもなんのそのになるかも。で、やっとの思いで公園に着く。とてもきれい。

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まずは噴水のあるほうから見る(公園は道路を挟んで右と左に分かれているが、中からはトンネルを潜って行ける)。とてもきれいに整えられていて、人の手がかかっているのがわかる。

ここにまさかのタンチョウ(鶴)がいた。

日本の鶴である。生まれてこの方一度も鶴を見たことがなかったので、あまりの不意打ちに驚いてしまった。タンチョウって、生きてたんだ。そしてここにいるんだ……。

それから、中のトンネルをくぐり、哺乳類などが展示されている公園へ。こちらには主に猿とカメがいた。オランウータンが、一番高い網の上で寝ていて(はたまたぼーっとしていて)、あ〜あ〜硬いフェンスの上じゃ背中も痛かろう、君はほんとうは森の中のフカフカの草のベッドで寝ていたんでしょう?と心の中で問いかけた。返事はなかった。動物園は人間が作ったものなので、フェンスやコンクリートという人工物に囲まれている。人間は硬い世界でも寝心地のいいマットレスやソファを敷けるからいいけど、動物たちは硬い上で寝なきゃいけないんだよ!?と、人間の業を憎んだ。フリーアニマル活動家になって、動物を動物園かどから逃してまわるというすごく身勝手なバカになるのはどうかなぁなどという妄想をしながらめぐった。

それから今日は行きたいところがあった。下調べで一番気になっていた本屋「芸鵠書店(ACO Books)」だ。

ここはおそらく香港で一番zineの品揃えが多くて、いろいろと楽しい催しなどをしているに違いない。知り合いのzineを作っている方にもおすすめいただいたし、今読んでいる本「わたしの香港」(亜記書房)でも紹介されていた。

このビル全体がギャラリーやら本屋やら何かしらのスペースになっていて、上から順に見て回るのがとても楽しかった。

ACO Booksはこの日トークショーをやっていた。

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それから下へと降っていくと、ちょうど開催中の短編フィルムフェスティバルの上映会場になっているスペースがあり、どうぞどうぞというので観させていただいた。白堀の壁に映画が映し出され、小さい室内の中にはお客さんでいっぱいだった。アメリカンチャイニーズの話(皮肉たっぷり)とか、ウクライナ戦争下で生活する人の映画を観た。面白かった。さらに下へ降りると、2つほどギャラリーがあって、展示を観た。


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楽しいもの、好きなものを発見して、心が満たされた。


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ACO Booksには、香港で行われているアートイベントだとか、展示のフライヤーがいっぱいあり、その中のひとつに行ってみることにした。外はもう暗くなっていた。

ギャラリーの名前は「480.0  性別藝術空間(Gender & Art Space)」。

ジェンダーとアートをテーマにしている。ここで行われていた展示は、性暴力にあった女性たちのストーリーを共有するというもの。個人のものもあったし、自助グループによるものもあった。

アウトプット方法は、短編小説だったり、インスタレーション、ペイントなどさまざまだった。ただし必ず、言葉で伝える冊子が用意されていた。

そして外に向けて発信したあと、どう感じたかという、彼らの今の気持ちも展示されていた。ここではただ見るのではなく、予約が必要で(予約なしで行ってしまったけれど、その場でできる)、なぜなら英語/広東語でスタッフの人がきちんと説明してくれるから。ただやるだけじゃなくて、ちゃんと届けることに意識があるのだと感じた。しかもこの時、私のほかに1組いて、それがカップルだったのも嬉しかった。ここで言及されているのは、主に女性の被害者と男性の加害者のこと。その男性に見てもらえるのは大きいなと思った。

それから、夕飯を食べに「劉森記麺家」へ。

ドライ麺にエビの卵がたっぷり振りかけられている。海老ワンタンも頼んだけれど、海老は刻まれておらず、まるっと1尾入っていた。嬉しいな~。食べたあとは気になっていたバー「バウンド 」へ。


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ここも「わたしの香港」で紹介されていた場所だ。ひとり客も多かった。2杯飲んで帰宅。今日は宿の女の子に怒られなかった。

11/17(金)香港2日目:アートスポット見学

カプセルホテルは大好きだ。案の定爆睡した。カプセルホテルには、女性のみ10名前後が泊まっていて、どうやらここに住んでいる人もいそう。多くが中国人だ。ローカル(香港人)の人もいた。まだ金曜日だから、みんなバタバタと用意をして出ていく。昨日街を見ていて思ったけれど、とにかく香港人は忙しそうだ。まるで東京みたい。通勤ラッシュにハマってはいけないと、9時過ぎまでゆっくりとしていた。

それから、まずは朝ごはんを食べに「金鳳茶餐廳」へ。

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ここではパイナップルパンという香港名物が食べられるが、私はおそらく好きではなさそうなので無難にエッグタルトを。それから楽しみにしていたミルクティー

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内装のすべてが可愛くて心が弾む。昨日までは心細すぎて、もうやっぱり家にいるんだったとさえ思ったものだけれど、可愛いものを見たら気分が晴れた。ちなみにパイナップルパンとは、メロンパンのように上にクッキー生地がのっていて、パンはふわふわ、中にはバター?が挟まっているんだっけな。いかんせん食べたことがないからわからない。

それから、行きたいギャラリーへ行く前に、この周辺をブラブラしてみることにした。市場が広がっていて、朝ということもあり活気があった。お肉屋さん、魚屋さん、フルーツ屋さんがメイン。

そしてひとつ発見したのが、フルーツには照明を当てるというカルチャー。どこもかしこもピカーッ!とフルーツが輝いていて、かっこよかった。

お肉はお決まりの吊るしタイプ。豚や牛が多いイメージ。

豚さんは顔とか腕(毛もついてた)とかもぶら下がってた。俺らって、命を食べているんだなーとしみじみ。鶏肉屋さんは、店内にニワトリがワサワサいてちょっと戦慄する。屋外にも屋内にも市場があって面白かった。一見スーパーなんだけど、全部個人店。日本にもそういうところがあったらいいなーと思った。

歩いたら小腹が減ったので、お昼ごはんにする。12時30分オープンの牛肉麺のお店「九記牛腩」に開店10分前に着いたのだが、なんと100人くらいの大行列。狂ってる。でも暇だから並ぶことにした。30分くらい待って、第二陣で入ることができた。もちろん相席。香港は相席文化だから、一人ご飯でも案外苦じゃない。みんなと食べている感じ。あの人のこれうまそうだなーなどと観察をする。肝心の麺は美味しかった。が、卵麺(中華麺)にしようと思っていたのに、土壇場でライスヌードルにしてしまったので、うまさ半減。己を呪う。

さっさと食べて、次は小さな本屋さんへ。香港旅では、独立系の本屋さんとアートスペースなどを中心に見たいなと思っていた。


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本屋さんもこの一帯にあって、この辺がすごく楽しかった。最寄り駅で言うと「上環」と言うところ。素敵なカフェやバー、レストランなどがたくさんあって、いろいろ掘ったら楽しそう。実は今日は行きたいクラブがこの辺にあったのだけれど、まだ風邪気味だし、ひとりでクラブへ行く体力も気力もなくて断念。でも行ったらきっと楽しかったと思う。

そのあとはギャラリー巡り。まずは「Tai Kwun」へ。ここは元は警察署と刑務所だった場所をリノベーションして再現しつつ、ギャラリーやレストランなどが入居する複合施設になっている。

人もいっぱいいた。まだいろいろ作っている途中だったけれど。このギャラリーで2つ展示を見た。

ひとつは「Killing TV」、もうひとつはMaria Hassabiによる「 I’ll Be Your Mirror」。Killing TVは日本人のビデオアートの先駆者らしい久保田 成子さんの作品とか、その夫のナム・ジュン・パイクの作品もあった。でもあんまりよくわからなかったよ。わかる必要もないけど。


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I’ll Be Your Mirrorは、ライブパフォーマンスで面白かった。環境音に合わせて、金属に体が溶け込むように、ゆっくり静かに動いていく、と言うか、流動する。3人のアーティストなのかダンサーがいた。だだっ広い空間に真っ白なカーペットが引かれた部屋と、ゴールドの鏡のような部屋があった。カーペットの部屋では、女の子(とはいえ二十歳くらいに見える)が爆睡していて、なーんも目撃していなくて自由でいいなと思った。

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それから、H Queen’sというビルにある3つのギャラリーを巡った。どれも絵画だった。


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そのあとはPMQというデザインと建築などの施設へ。こちらも元は学校のような見た目で、千代田区の「3331 Arts Chiyoda」みたい。会社とかお店とかが入居してた。ググってみると、もともと政府系の学校だったんだけれど、日本軍占領により壊されて、そのあと国共内戦で警察官が必要になったので、宿舎として建て直したんだって。


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最後はクラフトビールのお店「クラフティッシーモ 上環」へ。香港製造のIPAを飲んだ。


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タップと缶&ビールがあって、比較的お手頃。タップの種類はそんなにないけれど、おしゃれで雰囲気が好きだった。最近飲んでないのと、風邪でまわりが早いのか、すぐに酔っぱらった。近くのお店でヌードルを食べて帰宅。

宿の中国人の女の子が、「これ、誰が使ったの?」と、ものすごい形相で洗濯パッチンを持ってきてみんなに聞く。(あ、私だ……)。「てっきり共有アイテムだと思っていた、ごめん」と言う。そしたら続いて一言、「あんたこれも使った!?」 “これ”とは洗剤のことだ。「あ、はい…(もちろん俺)」。「これも私のなんだけど!」と怒られた。しかもそのあと、シャワールームのシャンプー台を壊してしまった(壁の接着剤が剥がれた)し、「こいつ、やべえ奴」認定されてしまったかもしれない。が、もうそんなことどうでもいい気がする。さ、そろそろ寝よう。明日はどうしよっかな~。

11/16(木)香港1日目:現代美術館へ行く

またしてもやってしまった。旅行前の風邪。思い出されるのは、タイから引き上げるときの石垣島旅行。タイラストの日だというのに、送別会も行けずにただただ寝込んでいた。いよいよおかしいので病院に行くと、インフルエンザB型だと言われる。けれど仕方がないので解熱剤をぐいっと飲んで、石垣島へ向かった。石垣では焼き肉も食べられず、ウンウンと唸っているだけだった。

香港2日前に、喉に異変があり、風邪。前日まで休んでいたけれど、なかなかよくならないまま飛行機へ乗車。しかも生理も来た。それなのに深夜便で早朝着ときたもんだ。神様も優しくない。というか自分の自己管理のできなさよ。でもなんとか2時間くらいは睡眠を取ることができて、無事に香港国際空港に着いた。香港にすごく来たかったわけでもないのだけれど、実は今月、収入が1/6になった。話せば長くなるからここでは割愛しますが、とてもショックだった。私はフリーランスで生きているので、明日の保証があんまりない。そんななか、急に契約が終わったので、見捨てられた気持ちだ。というか、普通に憤っている。彼らのためにほとんどの時間を使い、朝晩関係なく対応していた自分ってなんなんだろう。忙しくしていたせいで、切れた縁も、できないこともあった。まぁ、お金を得ていたことでできたことも多々あったけれど。お金は裏切らない、仕事は裏切らないとか言うけれど、全然裏切るじゃん!と思った。やっぱり、大事にしてくれる人、大事にしたい人を大事にしたほうが、絶対にいいと思う。人間関係を私は信じる。話がずれたが、つまり暇ができたんである。暇ができたとなれば海外に行くのだが、タイは相当行っているし、かといって、ヨーロッパのほうにまで出かける時間がない。月末にさまざま予定があるのだ。台湾は行ったのだし、今回は香港に決めた。

 

香港国際空港に着くと、タイよりも幾分涼しく、日本よりは到底暑くて湿った空気に包まれる。まずは現金をおろして、エアポートエクスプレスに乗る。香港マスターな方にいろいろと教えてもらった。エアポートエクスプレスは、空港から主要な市街地まで24分で結ぶ。これはいいよね。東京もそのくらい近ければなぁ。

さて、香港島に着いたのが朝8時30分。まずは飲茶が食べられる「蓮香居」に向かう。こちらも教えてもらったお店だ。昔ながらのカート式の飲茶。以前ニューヨークに住む姉に連れて行ってもらった、ブルックリンの飲茶屋さんも、こうしたカート式だった。すごく楽しいんだよね。飲茶なので、なんといってもお茶がメイン。私以外は地元の方が多い様子で、みんな好みのお茶を聞かれていたけれど、私はなぜかジャスミン茶一択。選ばせてもらえなかった(笑)。それから、茶器などをお茶のお湯で洗うという作法があるのだけれど、これも分からなくて、相席していたビジネスマンらしきおじさんに教えてもらう。

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私たちはそれぞれ一人客で、3名で相席をしていた。もうひとりは、エロい新聞を食い入るように読んでいたおじいちゃん。

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カートから海老の練りもの系の飲茶を2種類ほど選んで食べた。


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1時間半ほどゆっくりして、これから宿の女子専用のカプセルホテルへ。チェックインはできないけれど、荷物は置かせてもらえた。

 

それから次に「M+」という現代アート&デザインのミュージアムに向かう。2021年にオープンした新しい文化施設だ。


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今回、ここへの訪問を楽しみにしていたのだけれど、肩透かしにあった。なんだか仰々しく大きくて、たくさんのスタッフがいて、まるで政府の施設のよう(あんまり知らないけれど)。特別展という企画展は、中国出身のファッションデザイナーについてだったのだけれど、その見せ方が中国ってすごいんだぜ!的なプロパガンダに見えたし、やっぱりナショナリズムを強く感じずにはいられなかった。なんだかすごく上部を撫でているような気がして気持ちが悪かった。


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スイスのコレクターのシグコレクションのほうは、おもしろい中国アーティストの作品がいくつもあった。


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それでも肝心なところにはノータッチな感じがした。なんだか薄気味悪いなぁと思って調べると、シグコレクションからはすでに3点検閲が入り、撤去に至っているらしい。この辺一帯が開拓中、建設ラッシュで埃がすごかった。けれども、海沿いに建っているので、あちら側には香港島が見えて、景色だけは最高だった。

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続いて、ランチを食べに「麥文記麵家」。香港と言えば、やはり海老ワンタンヌードルでしょう! 海老ワンタンが大好きなのでとても楽しみにしていた。

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すごく美味しいけれど、小さいうつわに入っていて、これで800円かぁなどと考えてしまう。よくないよくない。日本とすでに大きな差が開いている香港の物価。それに加えての円安。どうなるんだ、日本。

それから歩いてすぐの「佳佳甜品」へ。おやつの名店で、ミシュランに掲載されている。ちなみに、海老ワンタンのお店もミシュラン掲載店のようだった。テーブルのバーコードを読んで決済まで行う。あとは頼んだものが運ばれてくるだけ。ラクだけど、味気ないね(口を開けば文句だよ)


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帰り道、漢方飲料の店の前を通りかかる。つい勢いで感冒茶というドリンクを買ってしまう。


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飲み方もよくわからない。彼女は全く英語を話さなかった。けれど比較的香港の人は親切で礼儀正しいイメージ。みんな優しくしてくれる。まぁ客だし。そして宿に戻り、シャワーを浴びて、爆睡したのだった。

急に職を失って、収入が1/6になった話

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私はフリーランスなのだけれど、業務委託というかたちでとある出版社と契約をしていた。1年更新の契約。しかもまあまあいい金額をもらっていたので、結構悠々自適というか、毎月いくらもらえるかわかんない!みたいな焦りはなく、いわゆる会社員というかまあそういう気持ちでいた。で、その仕事自体には不満もあって、好きなことじゃないなー、私に合ってないなー、と思っていて、いつ辞めようかと真剣に考えていた。

初めて契約したのが2020年だったから、コロナ禍を経て、3年くらいお世話になっていた。辞めたい波はいつもあったけれど、あるときふと、「お金のために働いて何が悪いのさ?」という気持ちに至った。それまでは仕事とアイデンティティがイコールだったせいで、やりがいのある仕事、だとか、好きな仕事、に固執していたけれど、そうじゃない生き方があると知った。それはzineをつくるようになってからで、自分の表現をしてから、急に仕事と表現(=アイデンティティ)が乖離していった。

そんなわけだから、お金がもらえるならいいやーと割り切って仕事をしていたのだが、実はその媒体の方向性が変わって、私がやっていたポジションがいらなくなったのだ。もちろん、あれーどうしようとは思っていたけれど、結構自分も頑張ってきたし、すぐに「じゃ、サヨナラ」と言われるとは思ってなかった。というか、最初の交渉では言われなかったのだ。が、まず初回の打診で給料が半分になった。それだけでもショックなのだが、仕事内容だけは異常に増えて、「ちょっとこれではできません、せめて仕事を減らしてくださいな」とお伝えしたところ、「じゃあこれで!」(バーン!)と、1/6の額を提示された。つまりは、じゃあもう小さい仕事だけやってや、ということで、事実上のサヨナラ宣言。(媒体の業績が悪くて、私と同じ業務委託がバンバン切られている最中だった。だから都合がよかったんだと思う。それに私にやる気があればまだしも、プップクプーと仕事をしてたもんだから…)

もちろん悲しかったけれど、それよりも契約更新の1日前に言われたことに憤りを感じた。ひどい。正社員じゃない人への愛がない。フリーランス派遣社員、アルバイトはいつ切ってもいいと思っているんだろうか。この会社からもらっているお金をベースにして暮らしていた私は、急遽生活の主軸をハンマーでぶん殴られて壊されたような感じだし、明日からどうしよう?とばかな顔をして考えなきゃいけない。今ももちろん考えている。ちなみにこれって11月1日(契約更新)の話なので……。私の場合、こんなこともあろうかと貯金もしていたし、他にも仕事をもらっていたからいいけれど、仮にそうでない場合、次の日からいきなり無職、一銭なしって、普通に考えてめちゃくちゃな暴力。こういうときのために組合に入っておくべきなんだろうか。この国で、いきなりお金がなくなって、家族にも頼れなくて、友人も少なくて、パートナーもいない、みたいな状況になったら、私はあっという間にホームレスになるのかなと思った。案外大袈裟な話じゃない気がする。だからみんな会社に勤めて、人でごった返した電車に心を無にして乗っているのかもしれない。

で、給料が1/6になるのはおそらく再来月から。せっかくだから、時間をかけて考えて、何か新しいことを始めてもいいのかな〜とぼんやり思っている。私はお店というかコミュニティスペースみたいな場所をつくりたい。そこにはzineとか身近な誰かがつくったものとかが売っていて、私はそこで相変わらずパソコン仕事をしてもいいし、人がきて雑談とか、特技のある人が特技を教えたり披露することもあってよさそう。なんとなくだけど、そんなことがしたい。あと、グラフィックデザインのスキルがほしい。お金がなくなるというのに、自分でも驚くくらいノーテンキ。そうじゃなかったら、フリーランスなんてことやっぱりできないんだな、と思った。

情報の海とやら

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自分の人生を大切に生きるってなんだろうか。人生というか、目下暮らし。例えば、自然に囲まれた山のなかで、太陽の動きとか、雲の動きとか、雨の音とか、虫の音を感じながら、その土地で採れる野菜を食べて、あまりインターネットは見ずに暮らすことだろうか。それはとても幸せな気がする。

インターネット(ソーシャルメディアに限らず)を見ていると、日々トレンドが移り変わり、ああ、そういえば一昨年はあれが流行ってたんだっけ、そういえばこんなものもあったよね、という具合です。全然覚えていられない。毎日信じられないほどの情報が飛び交って、とあるウェブマガジンでは、数日前に遡るのも大変な状況。こんなに記事を出して一体どうするんだ。とはいえ、かくゆう私もウェブマガジンでお仕事をしているから、そんな媒体に対して、ぽんぽん記事を排出してゆく排出マシーンである。

一時期、自分の信条とやっていることがあまりにも違うんじゃないか、なんて思い悩んだこともあるけれど(なんなら2018年にはそのことで不安神経症を患った)、今はこう思っている。いや、生活(お金)には変えられないよ、だって信条で飯が食べていけるわけじゃないもの。だから折り合いを見つけるべきだと思う、もちろん自分の場合は。今は折り合いがついているから大丈夫。

そう、話は戻るけれど、どんどんものごとが流れていって、新しいものが出てきて、そしてまたさらさら流れて、みんなの頭にはほんの少しの記憶しか残らない。

私が敬愛して止まない岡崎京子の漫画『ヘルタースケルター』にこんな一節があるよ。

「みんな何でもどんどん忘れてゆき ただ欲望だけが変わらずあり そこを通りすぎる 名前だけが変わっていった」

「みなさんはいつもとても飽きっぽい」

他にもこう言った名言があるのだけれど、ちょっと今手元に漫画がないので引用できず。つまりそう、みんな飽きっぽいのだ。でもこれはネットがまだない時代に描かれているものだから、人間はネットがあるなしに限らず飽きっぽい生き物なのかもしれない。

ただ、どうしたら外の声に惑わされたり、垂れ流しの情報に洗われず、自分の生活というものを、きちんと、はたまたてきとうにやっていけるのか。結局、人間って、どうしても影響を受けやすいし、そして自分のことを発信したい生き物なのだから、少なからずどんなふうに暮らしたって、音は入ってくるし、そして自分も誰かに対して音を与えてしまっているのだと思う。ザーザーのノイズに疲れると、実家に帰って携帯も見ずに暮らす。これが今の私にできる唯一のこと。